研究課題/領域番号 |
63571003
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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研究分担者 |
高橋 和彦 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (40117833)
貝谷 トヨ 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10080201)
幸田 光復 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60124286)
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キーワード | 代謝 / 含窒素複素環化合物 / 発癌性 / 遺伝毒性 / フッ素置換体 / 発癌活性化 / ミクロゾ-ム酵素 / キノリン誘導体 |
研究概要 |
含窒素芳香族化合物の発癌活性化に直接かかわる位置の水素をフッ素で置換すると、微生物に対する遺伝毒性が消失する事を明らかにした。当初は、F-置換による遺伝毒性の除去の可能性として、アミノ基やアミド基を有する化合物への適用を考え、63年度ではフェナセチンなどのF-置換体を合成し検討を行ったが、側鎖窒素置換基の酸化的活性化に対してはF-置換はまったく影響を与えないことが判明した。従って、F-置換による遺伝毒素性除去の標的物質としては、当該化合物は除外し含窒素芳香族化合物に限定して検討を行った。 〔結果〕 1.キノリン類の2位あるいは3位にF、ClまたBr原子を置換した時に限り変異原性が消失する。 2.3位のF、ClおよびBr誘導体においては、いずれも遺伝毒性が除去されてが、DlおよびBr体では強い細胞毒性が発現した。F-置換体では細胞毒性は発見されず、遺伝毒性のみが除去された。 3.本年度の一つの成果として、遺伝毒性が除去された3-F-キノリンの肝ミクロゾ-ムによる代謝の全ぼうを明らかにした。当該化合物の主代謝産物は3-F-5,6-dihydro-5,6-diolであり、主代謝経路は発癌性を有するキノリンと全く差異が見られなかった。この事実は、これらの主代謝経路はは解毒経路であり、発癌活性化は、ピリジン環部に起こるマイナ-な代謝過程である事を強く支持するものである事を強く支持するものである。 〔結論〕構造修飾により遺伝毒性を消去する事は容易ではなく、有望な医薬品の候補物質が開発途上で断念されるケ-スが少なくない。本研究で明らかになったように、ある種の化合物(含窒素芳香族化合物)では、然るべき位置をF-置換する事によって有用な生物活性を保存したまま遺伝毒性のみを消去出来る可能性が示めされた。
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