研究概要 |
1.ベンズアゼピン誘導体の合成原料である2ーフェネチルアミン誘導体の新規な簡易合成法を開発した。 2.N-[2-(3,4-Dimethoxyphenyl)ethyl]-N-methyl-2-(methylsulfinyl)acetamideの塩化メチレン溶液をトリフルオロ酢酸無水物で処理する(A法)か、あるいはベンゼン中2当量のpートルエンスルホン酸と還流する(B法)と、対応する3ーベンズアゼピンー2ーオン誘導体が54%および58%の収率で得られることを最らかにした。 3.このようにして得られた3ーベンズアゼピンー2ーオン誘導体をLiAlH_4還元、Raney Niによる脱硫によって、対応するベンズアゼピンに導いた。 4.このベンズアゼピンの新合成法を利用して、セファロタキシンの合成研究を行った。先づ、文献に従って合成した6-(3,4-methylenedioxyphenyl)-1-azaspiro[4.5]dec-8-eneから誘導されるαースルフィニルアセトアミドをB法を用いて環化すると、期待するベンズアゼピノン誘導体が得られた。このシクロヘキセン部分を5員環に環縮小することを試みたが満足な結果は得られなかった。 5.そこで、シクロヘキセンの代りに最初から5員環を構築することによりセファロタキシンを合成する計画をたてた。即ち、ニトロスチレン誘導体から数行程を経て合成した8-acetoxy-6-(3,4-methylenedioxyphenyl)-1-azaspiro[4.4]nonaneのスルフィニルアセトアミド誘導体をB法で環化すると環化体が得られ、3行程で文献記載の1,3,5,6,9,15-hexahydro-4H-1,3-dioxolo[4.5-h]pyrrolo[2.1-b][3]benzazepin-2(1H),8-doneに導いた。この化合物は既に金沢大学花岡らによって3行程を経てセファロタキシンに導かれているのでここにセファロタキシンの形式合成が完成した。
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