研究概要 |
前年にひきつづき、ベンゾジアゼピンレフセプタ-に特異的に結合する薬物、ゾルピデムを用いて、レセプタ-結合占有率と脳内グルコ-ス代謝の変化の関係を検討した。ゾルピデムは、非ベンゾジアゼピン系薬物であり、rapid onset,short durationの薬物作用を呈する抗不安薬として注目されている。以下のような方法を用いた。雄性ddyマウス(28-32g)の下肢動静脈にカテ-テルを施し、覚醒させたのち、Zolpidem(10mg/kg)を静脈内投与して、種々の時間での脳内グルコ-ス利用率変化及び、受容体占有率を測定した。解析は前年度で紹介したグルコ-ス利用率測定のためのダブルラベル法と受容体占有率測定法をそれぞれ用いた。Zolpidemによりマウス脳内グルコ-ス利用率は有意に抑制された。更にこの効果は比較的短時間(5-10min)であらわれ、2時間程度で消失することがあきらかとなった。また、受容体占有率は投与後徐々に低下することが示された。両パラメ-タの関係として、薬物のレセプタ-への占有がなくなっても作用としてのグルコ-ス代謝抑制は持続することが明らかとなった。 以上のようにZolpidemによる薬物作用の経時的変化の指標として脳内グルコ-ス利用率を用いることが可能であることが示された。また、この薬物作用は受容体占有率との関係から記述が可能であることが示唆された。
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