現在、ニューセラミック微粒子はこれを加熱・成形して工業製品化する原材料として、組成、粒子径とも多種多様のものが生産されている。 一方、これらニューセラミックス系微粒子はクロマトグラフィーの立場から眺めると、その粒子径の微少さの故に高い理論段を与え得る可能性を秘め、また分離特性に関してもほとんど未知の新素材と言える。そこで、本研究においてはクロマトグラフィー用担体としての可能性を探るため、現在広範に利用されている高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用充填剤基材としての評価を、シェイクフラスコ法を用いて行った。即ち、ヘキサン-イソプロパノール(9:1、V/V)中に種々のニューセラミックス微粒子を懸濁し、パラヒドロキシ安息香酸の吸着挙動の3種の吸着等温式(Henry式、Langmuir式、Freundrich式)により解析した。その結果、シリカゲル、アルミナ、二酸化チタニウム(1〜2μm)、二酸化ジルコニウム(3μm)、窒化ジルコニウム(1.35μm)、炭化ジルコニウム(0.97μm)、珪酸ジルコニウム、オキシリン酸ジルコニウムなどの吸着は、Freundrich式でよく表されることが判明し、同式中の吸着キャパシティーを示すパラメーター(K)から、二酸化ジルコニウムなどが高い吸着活性を有することが示された。このようにして選別した新素材をカラムに詰め、実際にHPLCを行って種々の化合物の分離挙動を調べたところ、シリカゲルなどでは分離が困難なニトロアニリンのオルト、メタ、パラ異性体がジルコニアで容易に分離されるなど、新素材は従来の吸着剤には見られない分離特性を有することが明らかとなった。また、これら新素材の多くは、現在のHPLC用充填剤基材の大半を占めるシリカゲルがアルカリ性で溶解するのに対して、極めて高い耐アルカリ性を示すことが判明した。
|