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1988 年度 実績報告書

低スピンヘム錯体における軸配位子の回転配向角度の無秩序配向試料からの決定法

研究課題

研究課題/領域番号 63571026
研究機関帝京大学

研究代表者

佐藤 三男  帝京大学, 薬学部, 教授 (70101714)

研究分担者 藤原 美香  帝京大学, 薬学部, 教務職員
キーワード低スピンヘム錯体 / 軸配位子の回転配向 / gテンソルの配向 / 超微細テンソルの配向
研究概要

低スピンFe(III)ヘム錯体の凍結溶液のESRスペクトルにおいて^<57>Fe(l=1/2)による超微細(hf)分裂が観測されると、ヘム座標系に対する斜方対称場主軸の回転配向角度(φ)、gおよびhfテンソル主軸の回転配向角度(φ_g、φ_A)などが求められる、これら主軸系の角度配向は主として軸配位子のz軸のまわりの回転配向に起因する。そこで、本年度の研究では、斜方対称場の配向角度(φ)と軸配位子の配向角度(φ_1)との関係を明らかにし、シトクロムPー450のモデルとみなされるチオラト軸配位の低スピンFe(TPP)L_1L_2錯体(TPP=テトラフェニルポルフィン、L_1=RS^-、R=Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、s-Bu、t-Bu、L_2=MeOH)へ応用した。
1.結晶場モデルと軸配位子の配向角度.ポルフィン配位子の4回対称性を仮定し、二つの軸配位子間のトランス電子効果を無視すると、斜方対称場主軸の配向角度(φ)は(a)一方優先型(V_1》V_2)軸配位形式場合:φ=φ_1(b)ビス型(V_1=V_2)軸配位形式の場合:φ=(φ_1+φ_2)/2となる。ただし、φ_1、φ_2は二つの軸配位子(L_1、L_2)の配向角度、V_1、V_2はL_1、L_2に固有の斜方対称分裂である。
2.分子軌道・ヤーンテラー効果など.特定のφを安定化する機構として(1)分子軌道法(2)非結合原子間相互作用(3)非対称電子分布(4)擬ヤーンテラー効果(5)溶媒など周辺分子との相互作用などについて検討し、(1)および(2)が配向角度を決める重要な要因であることを明らかにした。
3.Fe(TPP)L_1L_2錯体への応用.(a)の一方優先型軸配位形式の場合を適用してφ_1=6〜37°を決定した。φ_1は直鎖型Rの場合には小さく、分岐型Rの場合には大きい。前者に対しては(1)の機構が、後者に対しては(2)の機構がそれぞれ効いていると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 佐藤三男: 日本化学会誌. 522-530 (1988)

  • [文献書誌] A.Tohara: Chemistry Letters. 153-156 (1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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