研究課題/領域番号 |
63571027
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岩鶴 素治 帝京大学, 薬学部, 教授 (50050448)
|
研究分担者 |
青山 和 帝京大学, 薬学部, 助手 (50167798)
清水 澄 帝京大学, 薬学部, 助手 (80119586)
|
キーワード | 微分スペクトル / 一次微分 / BSA / タンパク結合 / ナフトール・イエローS |
研究概要 |
牛血清アルブミン(BSA)と色素ナフトール・イエローS(NYS)間には3種の結合様式が存在する。第一の結合は非常に強く、透析でははずれない。第三の結合は非特異的であり、結合数は大きいが結合力は弱い。第二の結合は両者の中間の性質を有し、吸収スペクトルに影響を与えるのは第一と第二の結合であることが知られている。 本研究ではこの吸収スペクトルの解析に微分スペクトル法を適用した。その理由は第二の結合によるスペクトルと非結合形の色素のスペクトルが、非常に類似しておりながら微妙に異なっており、本法の適用モデルとして適合と判断されたからである。 NYSを一定濃度(5×10^<-5>M)に保ち、BSAの濃度を順次変化させるタイトレーション法を用いて試料を調製し、自記分光光度計で吸収スペクトルを描かせた。また分光光度計の内部メモリーを用いて、第一の結合に基づく吸収スペクトルを相殺したスペクトルを得、さらにその一次微分スペクトルも描かせた。BSAの濃度の上昇と共に一次微分スペクトルがベースラインを切る点、すなわち吸収極大を示す波長が長波長側にシフトし、非結合形の色素が示す吸収極大から、先に推論で得られた第二の結合形の吸収極大の方へと移行した。さらにBSAの濃度が一定値以上に上昇すると、第二の結合形の濃度が減少することから、このシフトは短波長側へ反転した。これらのことを総合したところ、作業仮説"〔BSA〕【greater than or equal】〔NYS〕のときはNYSは全て第一の結合形(濃度=C_<b1>)として、3〔BSA〕【greater than or equal】〔NYS〕>〔BSA〕のときはC_<b1>=〔BSA〕、第二の結合形(濃度=C_<b2>)はC_<b2>=〔NYS〕-〔BSA〕.〔NYS〕>3〔BSA〕のときはC_<b1>=〔BSA〕、C_<b2>=2〔BSA〕、非結合形の色素(濃度=Cf)はCf=〔NYS〕-3〔BSA〕として存在する"を更に敷衍する結果が得られた。
|