研究概要 |
研究実施計画に従い以下の研究成果を得た。 〔I〕腎髄質PGE受容体ーGTP結合蛋白質会合体の諸性質の検討:腎髄質の^3H-PGE_1(E_2)結合は、GTPrSあるいはGTPの存在下において約2〜4倍増大した(GTPrS>GTP〓GDP=ATP,ADP)。Scatchard Plot解析の結果、この結合の増大は、受容体数の増加によるものではなく、結合親和性の増大によることが判明した。腎髄質膜には、コレラ毒素(CT)および百日咳毒素(PT)によりADPリボシル化されるGTP結合蛋白質(G蛋白)が存在するが、GTPrS(GTP)によるPGE結合の増大作用はPT処理により消失するが、CT処理では変化がないことが判った。^3H-PGEが結合したPGE受容体は、6%ジギトニンで可溶化され、PT感受性G蛋白との会合体として存在することが推定された。 〔II〕PGE受容体ーGTP結合蛋白質会合体の精製:ゲル濾過クロマトグラフィーにより、可溶化^3H-PGE受容体の多くは高分子体(Mr〓38万)として分離された。この高分子体のピークには、GTPr^<35>S結合活性、GTPase活性、百日咳毒素によるADPリボシル化活性が存在し、PGE受容体とG蛋白との会合体としての存在が示唆された。この高分子会合体をWGAアフィニティーカラム、次でDEAEートヨパールによるイオン交換クロマトグラフィーを用いて分離し、濃縮後SDS非存在下でアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、GTPr^<35>S結合活性、百日咳毒素によりADPリボシル化されるG蛋白と会合している^3H-PGE受容体が得られた。本会合体は、GTPの添加により^3HーPGEの結合親和性が減少しない特徴を有していた。 〔III〕今後の研究の展開:上述の現象の生理的意義を明らかにするため、腎髄質細胞由来のMDCK株化細胞を用い、細胞内にGTPrSを注入する実験などを行ないcAMP生成反応におけるG蛋白の役割について更に検討を続ける予定である。
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