糖、アミノ酸およびスオンの輸送は、栄養の吸収、細胞内恒常性の維持、エネルギ-の転換等の重要な役目を持っている。本研究ではH^+またはNa^+と共役する糖とアミノ酸の能動輸送系、Na^+/H^+アンチポ-タ-およびATP合成系について生化学面および遺伝子面から解析し、以下のような結果を得た。 Na^+と共役する栄養の輸送系については、主として大腸菌のメリビオ-ス輸送系のカチオン共役変異株とinducer exclusion抵抗性変異株の解析を進めた。そのような変異株を多数分離し、それらの変異遺伝子(melB)をクロ-ニングし、塩基配列の決定から置換アミノ酸残基を明らかにした。こうして、メリビオ-ス輸送担体のカチオン認識に関与するドメインとinducer exclusionに関与するドメインを解析した。また、melBとphoAの融合により、メリビオ-ス輸送担体とアルカリ性フォスファタ-ゼの融合タンパク質を作り、メリドオ-ス輸送担体の膜内配向性と機能ドメインを明らかにした。こうしてメリビオ-ス輸送系における輸送担体の構造と輸送機構の関係が明らかになった。一方、緑膿菌においてNa^+(またはLi^+)と共役する分岐鎖アミノ酸輸送系を見いだし、この系の生化学的性状を明らかにした。また、サルモネラ菌においてH^+と共役するクエン酸輸送系の遺伝子クロ-ニングと塩基配列の決定を行い、クエン酸輸送タクパク質の一次構造を明らかにした。大腸菌のH^+/Na^+アンチポ-タ-については、細胞内pH調節における役割と遺伝子発現の制御について明らかにした。一方、腸炎ビブリオにおいては、H^+と共役するATP合成酵素の性状を明らかにし、他の生物の当該酵素との異同を明らかにした。また、Na^+と共役するATP合成系についても解析した。
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