研究概要 |
発癌性芳香族アミンの新代謝活性化機構とみなされるN-ホルミル化反応につき、下記のような興味ある成果を得た。 1.発癌性芳香属族アミン4-aminobiphenyl, 2-aminonaphthalene, 2-aminofluoreneおよび1-aminopyreneをそれぞれ投与したウサギの尿より、それらの代謝物として、相当するN-arylacetamides(4-acetylaminobiphenyl、2-acetylaminonaphthalene, 2-acetylaminofluorereおよび1-acetylaminopyrene)と共に、N-arylformamides(4formylaminobiphenyl, 2-formylaminonaphthalene2-formylamino fluoreneおよび1-formylaminopyrene)を単離同定した。また、これらの芳香族アミンをそれぞれラットあるいはモルモットに投与した場合にも、糞または尿より上記N-arylfarmamidesおよびN-arylacetamidesを単離同定することができた。これはN-ホルミル化反応がN-アセチル化反応と同様に、発癌性芳香族アミンのinvivo代謝における一般的な反応であることを示した最初の例である。 2.これらの芳香族アミンをそれぞれラットに投与した後、相当するN-arylformamidesおよびN-arylacetamidesの尿、糞中排泄量につき定量的な検討を加えた。その結果、N-arylformamidesおよびN-arylacetamidesの排泄量は予想外に少ないことが明らかになった。しかし、これは生成したN-arylformamidesおよびN-arylacetamidesがラット体内で更に代謝されてしまうことに起因することを突き止めた。 3.ラット、ウサギ、マウス、モルモット、ハムスター、の肝サイトソールはいずれもN-formyl-L-kynurenine存在下で、上記芳香族アミンに対してN-ホルミル化活性を示すことを見出した。更に、精製ラット肝formamidaseを用いた実験により、肝サイトソールのN-ホルミル化活性は本酵素によるものであることを証明した。
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