研究概要 |
1.サル肝から単離した4種のジヒドロジオ-ル脱水素酵素のうち、主酵素は高いインダノ-ル脱水素酵素活性を示すが、肝汁酸や5βひうプレグナン類の3α-また20α-水酸基を可逆的に酸化した。pH7.4におけるステロイドに対するkcat/Km値は異物アルコ-ル類に対する値に匹敵し、還元反応ではNADPHの4-pro-R水素原子をケトステロイドの3β-または20β-面に転移した。特異的な拮抗阻害剤を用いてヒドロキシステロイドが異物アルコ-ルと同一活性部位で酸化されていることを示唆した。このように、本酵素は3(20)αのヒドロキシステロイド脱水素酵素としてコルチコイドや肝汁酸の代謝に関与することが明らかになった。 2.サル腎に特異な2量体酵素はpH7.4でグリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトンおよびそのリン酸エステルの還元を触媒し、このうちジヒドロキシアセトンリン酸に最も高い親和性を示し、本酵素が糖代謝に関与することが示唆された。 3.ヒト肝から3種の分子量35,000のNADP-依存性酵素と1種の分子量80,000のNAD-依存性酵素を精製した。主酵素はアルデヒド還元酵素と同定し、他のNADP-ヒドロキシステロイド脱水素酵素、またNAD-依存性酵素はアルコ-ル脱水素酵素と推定された。これらのマイナ-酵素については、今後さらに精製し、その生理的役割を明らかにする予定である。 4.ヒト腎では分子量35,000のNADP-依存性酵素が存在し、単離した本酵素はアルデヒド還元酵素であり、ヒト腎ではアルデヒド還元酵素が発癌性芳香族炭化水素の解毒にて重要であることが示唆された。
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