1.肝細胞内構造物(細胞膜他)を分離し、^<125>Iーレギュカルチン(RC)の結合性を調べ、肝細胞膜Ca^<2+>ーMg^<2+>ーATPase(Ca^<2+>ポンプとして作動)を活性化し、その活性化の機序としてレギュカルチンが酵素蛋白質を直接活性化することを見出し、肝細胞膜Ca^<2+>輸送系において調節的役割を果すことを明らかにした。 2.肝細胞のミクロゾ-ムの機能調節におけるレギュカルチンの作用を調べたところ、Ca^<2+>によるグルコ-スー6ーホスファタ-ゼ(糖新生の律速酵素)の活性化を抑制すること、またCa^<2+>ーATPase(細胞質中Ca^<2+>を取り込む)を活性化することを見出し、レギュカルチンのミクロゾ-ム機能調節を明らかにした。 3.レギュカルチンは肝細胞内ミクロゾ-ム膜に結合し、ミクロゾ-ムに取り込まれたCa^<2+>の放出を刺激することを明らかにした。この結果は、本蛋白質の肝細胞内Ca^<2+>ホメオスタシスの調節における役割を示唆した。 4.レギュカルチンそれ自体は蛋白質リン酸化酵素としての機能を有していないが、プロティンキナ-ゼCのCa^<2+>によるその活性化を抑制的に調節していることを見出した。この結果は、レギュカルチンが肝細胞内の情報伝達においてその抑制的制御に関与しているとの重要な知見と考えられた。 5.更に、レギュカルチンはキャルモデュリンによる蛋白質リン酸化反応をも抑制することが見出され、これはレギュカルチンがCa^<2+>を結合することにより調節していることを明らかにした。以上の知見より、肝細胞内に見出された新しいCa^<2+>結合蛋白質レギュカルチンは、肝細胞内のCa^<2+>の動態を調節するとともに、Ca^<2+>による酵素の調節を抑制的に制御し、Ca^<2+>による細胞機能調節を制御している蛋白質であるとの概念が創り出された。
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