研究概要 |
昭和63年度の研究成果を基に,アロマタ-ゼの天然基質であるandrostenedione(A)や生合成中間体である19-hydroxyAの3位カルボニル基を除去した3-deoxy-Aと3-deoxy-19-hydroxyAを本酵素阻害剤として合成した。その結果、特に後者は強力な拮抗阻害作用(ki=12nM)を示した。また,これら2つは天然型ステロイドとは異なる様式でアスマタ-ゼに結合していること,3-deoxyAに6α,7α-メチレン基を導入すると,さらに強力な拮抗阻害剤(ki=5nM)となることなどが明らかになり,アロマタ-ゼ阻害剤の構造活性相関に新しい知見を加えることができた。 エストリオ-ル(E_3)生合成中間の16α,19-dihydroxyandrostenedioneやその3β-hydrocy-5-ene誘導体をラット皮下に投与し(1mg/week),血圧に対する影響を検討した。いずれの化合物も,対照群に比し血圧を10-50mmHg上昇させた。この新しい生物活性は,高血圧を伴う妊婦との関係を考える上で興味深く,現在,この生物活性発現の機作等についての詳細を検討中である。 ついで,これらE_3生合成中間体の妊婦血中での同定を目的とし,〔7α,7β-^2H〕dehydroepiandrosteroneを出発原料とし,〔7α,7β,16β-^2H〕16α-hydroxydehydroepiandrosteneを合成した。現在,これを内標準物質として,GC-MSによる同定とその臨床的意義について検討を加えつつある。
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