ラット中枢組織由来のシナプス膜を37℃、60分間incubation処理することで、同膜上に存在する〔^3H〕tryptamine結合部位の結合能で約2.4倍増大(一種のup-regulation)する事を見い出したが、この温度依存的高親和性結合部位(K_0=4×10^<-10>H)のtryptamine受容体としての神経薬理学的意義に関し、以下の実験にて検索した。 1.Tryptamineニューロンの種々のagomists、antagomists、刺激伝達物質に対するpharmaco-kinetics、並びにregional distributionの両面から同結合部位の神経薬理生理学的特性を検討し、以下の知見を得た。 (1)種々の薬物との競合実験より、この温度ー感受性高親和性〔^3H〕ーtryptamine結合部位はtryptamineに特異的であり、他の刺激伝達物質(5ーHT、dopamine、Ach、norepinephrine mistamine、GABA)には親和性を示さなかった。種々の中枢神経系薬物に対しては、βーcarboline系及びphemylethylamine系に対してのみ比較的高い親和性を示した。 (2)上記高親和性〔^3H〕tryptamine結合部位はラット小脳由来のシナプス膜には存在しない事が判明した。(以上の結果を〔I〕にて発表した。) 2.同結合部位の受容体としてのより直接的な探索法として、in vivo系での可塑性について、MAO阻害剤(pargyline、clorgyline)との相互関係の面から検討した。即ち、両薬物を18日間慢性投与した結果、高親和性〔^3H〕tryptamine結合部位の著しい(約50%)減少(down-regnlation)が認められた。(以上の結果を〔II〕にて発表予定) 以上、1.2.の知見依り本高親和性〔^3H〕tryptamine結合部位の受容体としての更なる可能性が示唆された。
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