研究概要 |
エイコサペンタエン酸(EPA)をマウス腹腔内に投与すると、2日後にはPMN(多形核白血球)が正常の100倍以上に増加し、さらにPMN中の構成脂肪酸に変化が生じ、投与したEPAが特異的に摂取されていることが判った。 次にこの摂取されたEPAがアラキドン酸代謝にどのように関係しているかを検討するため、分析方法の検討を行なった。ラジオイムノアツセイ法ではTXB_2と6KF_<1α>の定量は可能であっても、他のアラキドン酸カスケードの生産物については、別の方法を考える必要がある。そこで、9ーナフタリルジアゾメタン(ADAM)を用い蛍光分析を行なったが成功せず、3ーbromomethylー6,7ーdimethoxy-1-methyl-2-(1H)quinoxalinoneを用い種々と検討した結果、完全ではないが分析できるようになった。 一方マウスは通常、CEー2の固型飼料を用いて飼育し実験を行なうが、このCEー2の飼料中には、魚粉が不飽和脂肪酸の供給源として添加されている。このEPAの実験で、よりEPAの摂取及び効果を検討するために魚粉を添加していない飼料(無添加)群と普通食群について、血中及び肝でのリン脂質の組成およびその構成脂肪酸について分析を行なった。遊離脂肪酸量や構成リン脂質の割合には変化はなかったが、その構成脂肪酸には変動が認められた。例えば、無添加群については、肝のレシチン中の高度不飽和脂肪酸の割合や組成に変化が認められた。この群にEPAを投与すると、投与したEPAの存在も認められるがリノール酸からの脂肪酸代謝に変化が認められる結果であった。 今後は、無添加食群にEPAを投与し誘導されたPMN中の脂質とアラキドン酸カスケードに関する解析をして行く予定である。
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