研究課題/領域番号 |
63571062
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
上野 芳夫 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00084418)
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研究分担者 |
川村 理 東京理科大学, 薬学部, 助手 (30204770)
杉浦 義紹 東京理科大学, 薬学部, 助手 (10196719)
根本 清光 東京理科大学, 薬学部, 助手 (90189366)
石井 賢二 東京理科大学, 薬学部, 助教授 (80124931)
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キーワード | T-2トキシン結合性モノクローナル抗体 / ターゲッティング療法 / 腫瘍細胞の選択的障害 |
研究概要 |
T-2トキシン(T-2)の細胞毒性を利用したターゲッティング療法を開発するためにマウス癌細胞に対するin vitro及びin vivoにおけるモデル実験系で効果を検討した。マウス悪性胸腺腫細胞EL-4を標的細胞として選択し、表面抗原を認識するモノクローナル抗体(MA6)を作製した。さらに、T-2を無水グルタル酸と反応させてT-2ヘミグルタレートとし、分子内にカルボキシル基を導入後、Nヒドロキシサクシニミドにより活性化体としMAbに結合させた。その結果、MAbl分子(IgM)あたり14分子のT-2が結合していた。このT-2-MAb複合体をEL-4細胞及び悪性骨髄腫SP2細胞にin vitroで作用させた結果、EL-4細胞にのみ細胞障害性を示した。また、T-2-ガンマグロブリン複合体は両細胞に無効であった。これらの結果は複合体が細胞障害性を示すためには抗原抗体反応が必要であることを示唆する。次に作用機序を知る目的で、エンドサイトーシス阻害剤、またはリソソーム阻害剤を用いた細胞代謝阻害実験の結果、T-2-MAb複合体がEL-4細胞表面に結合した後、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ、リソソーム酵素によって複合体からT-2を遊離し細胞障害性を発揮したことを示唆した。次に、in vivoにおける作用を検討した。マウスにEL-4細胞を腹腔内移植した後、T-2-MAb複合体、T-2単独、MAb単独、または溶媒のみを投与し、90日間生死を観察後、コントロール(溶媒投与)群に対する平均生存日数の延長率及び最終生存率を計算した。その結果、T-2単独、MAb単独、及びT-2-MAb複合体投与群の平均生存日数の延長率はそれぞれ、33、39、及び130%であった。また、最終生存率はそれぞれ、0、0、及び29%であった。以上、本研究において、T-2-MAb複合体を作製し、T-2単独、MAb単独ではなしえない抗腫瘍性を発揮させることに成功した。
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