研究課題/領域番号 |
63571073
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
田中 康仁 国立予防衛生研究所, 化学部, 主任研究官 (30113484)
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研究分担者 |
赤松 穣 国立予防衛生研究所, 化学部, 部長 (00072900)
天野 富美夫 国立予防衛生研究所, 化学部, 主任研究官 (90142132)
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キーワード | ホスホリパ-ゼA_2 / マクロファ-ジ / アラキドン酸代謝 / マクロファ-ジ系細胞株 / 動物細胞変異株 / プロスタグランジン / リポ多糖 |
研究概要 |
本研究の目的はマクロファ-ジ活性化の初期に観察されるアラキドン酸とその代謝産物のプロスタグランジン等の遊離調節機構を解明することである。初年度に分離し、樹立した4株の変異株は基質特異性とCa^<2+>依存性の異なるホスホリパ-ゼA_2活性の1つあるいは2つが低下しているものであった。これらの変異株を用いてLPS刺激によるアラキドン酸の遊離活性を調べた。その結果、LPS刺激によるアラキドン酸遊離は親株と変異株の間でほとんど差がないことがわかった。以上の結果より、アラキドン酸遊離には複数のホスホリパ-ゼが関与しており、相補的に機能している可能性が示唆された。即ち、マクロファ-ジのアラキドン酸とその代謝産物の遊離は単に1種類のホスホリパ-ゼの活性調節により制御されているのではないと思われる。このようなアラキドン酸遊離の調節に関与する因子として、マクロファ-ジ活性化の極めて初期に出現する新たな蛋白性因子を見いだし、これが既知の因子とは異なるアラキドン酸遊離活性化因子であることを示唆してきたが、この因子をDEAEセルロ-スカラムクロマトグラフィ-により、初めて部分精製することができた。他方、高濃度LPSに耐性の変異株を分離し、そのアラキドン酸遊離について調べた。この株ではLPS刺激を加えない場合でも、ホスホリパ-ゼA_2活性が親株にくらべて5倍ほど上昇しており、またアラキドン酸の遊離も上昇していることがわかった。変異により、前述のアラキドン酸遊離活性化因子が増加している可能性も考えられるので、今後さらに検討したい。以上、ホスホリパ-ゼA_2活性が低下・上昇した変異株を用いて検討してきたが、マクロファ-ジにおけるアラキドン酸遊離の制御には個々のホスホリパ-ゼ活性の調節機構の他に、これらのホスホリパ-ゼを含むアラキドン酸遊離全般に関する制御の重要性が示唆された。
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