研究概要 |
本年度は、母乳中、臍帯血中、母体血中の風疹抗体の測定を行った。 対象:昨年度測定に用いた褥婦20例の母乳、母体・臍帯血清で、測定までー70℃に保存しておいた。 測定方法:赤血球凝集抑制(HI)試験による測定は、母乳,母体・臍帯血清について行った。sIgA型風疹抗体は母乳について、IgG型風疹抗体は母体・臍帯血清について測定した。IgG型風疹抗体はELlSA Kitであるルベスタット(Lot No.808503)を,sIgA型風疹抗体はルベスタットの抗原固相プレ-トを用い、他はsIgA型麻疹抗体と同じ条件で測定した。 成績および考察:母体および臍帯血清のHI抗体陰性例は、ともに5例(25%)であった。陽性例の抗体価はともに1:8から1:512までに分布した。母体および臍帯血清中のIgG型抗体は、陰性5例,陽性15例で,その値は両者合せて0.18から4.56(弱陽性コントロ-ルを1とした比)であった。 母乳中の風疹抗体は、HI法では11例が陽性で、この例は全例母体臍帯血の抗体陽性例であった。陽性例の抗体価は1:8から1:128までに分布した。母乳中のsIgA型抗体は、ELlSAの相対力価(RP)で0.11から1.75まで分布した。RP0.5以上を陽性とすると、陽性例は12例であった。この例は全例母体,臍帯血清陽性であった。母乳HI抗体陰性の9例中2例はsIgA型ELlSA抗体が陽性と判定され、本法は今後母乳中のsIgA型特異抗体の検索に有用と考えられる。
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