種々の刺激によって生体内の発生したフリ-ラジカルは、生体細胞膜脂質中の多価不飽和脂肪酸に働いて脂質の過酸化を引き起こして細胞障害をもたらす。 一方、ヒトを含めて多くの哺乳類では、赤血球由来のヘムは最終的にビリルビンに代謝されて胆汁中へ排泄される。このビリルビンの有害性についてはよく知られている。しかし、ビリベルジンからの還元・グルクロン酸との抱合など、複雑な代謝過程を必要とするビリルビンが全く無益な物質であるということは不合理とも言える。 今回私達は、フリ-ラジカルを産生させる実験系を用い、フリ-ラジカルとビリルビン分解との関係を調べるとともに、初代培養肝細胞における検討を行った。 (方法)0.5mMヒポキサンチンおよび50mMキサンチンオキシダ-ゼの混合溶液に10μMのビリルビンを加え、ビリルビン濃度の減少を444nmにおいて経時的に測定した。同時に656nmの吸光〓を測定した。ビリルビンの分解に対するSOD。カタラ-ゼ、DMSO、アスコルビン酸の影響を検討した。さらに、コラ-ゼナ-ゼ灌流法によりラット肝細胞を培養し、^<51>Crでラベルしたのちヒポキサンチンとキサンチンオキシダ-ゼによる肝細胞からの^<51>Cr放出に対するビリルビンの影響を検討した。 (結果と考察)ヒポキサンチン/キサンチンオキシダ-ゼによってビリルビンの減少が促進され、SODとアルユビン酸はこの減少を抑制した。培養肝細胞からの^<51>Crの放出を0.1〜0.4mg/dlのビリルビンが抑制した。以上のことから、産生されたフリ-ラジカルの攻撃によってビリルビンが破壊され、この際に肝細胞をフリラジカルの攻撃から保護することが考えられた。
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