本研究は、ヒト染色体の中でも最も小さな21番染色体DNAをクローン化し、ゲノミックライブラリーを作成すること。また、染色体上での各クローンのつながり(オーダー)を明らかにし、最終的には、21番染色体を完全にカバーする連続したコンティグマップ作成を目的としている。この達成のため、最近開発された酵母人工染色体ベクターを用いて、できるだけ分子量の大きなDNAのクローニングによるライブラリー作成を行った。 1)出発材料としてヒト21番染色体DNAのみを含むヒト×チャイニーズハムスター雑種細胞を用いた。長鎖DNAを得るためにショ糖密度勾配遠心法、アガロース顆粒法を検討した結果、量的制限がある場合、後者の方が長鎖DNAが得られることがわかった。 2)アガロース顆粒方で精製したDNAを種々の制限酵素で部分分解し、目的とする100〜500KbのDNAを得た。 3)このDNAを酵母人工染色体ベクター(YAC)に連結し、酵母の細胞に導入し、組換え体を得た。この酵母細胞内には雑種細胞由来の平均120KbのDNAがYACに連結されて存在していた。 4)この中からヒト由来のクローンを選択するため、ヒト特異的プローブとしてAIu配列でコロニーハイブリダイゼーションを行った。 5)約8000クローンから出発し、60余株の21番染色体クローンを得た。これは21番染色体全体の15%程度に相当する。 6)現在、各クローンを連結するための予備実験としてクローンの断片をプラスミッドにするプラスミッドレスキュー法を検討中である。
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