研究概要 |
Myotonic Dystrophy(以下MD)とprolidase geneの19番染色体上での位置関係を明らかにしていく目的で、ヒトProlidaseのcDNAを単離し、その塩基配列を決定し、アミノ酸配列を推定した。(J.Biol.Chem.264:4476-4481,1989)。次に、このcDNAをプロ-ブとして用い、in situ hybrization法により、染色体上の位置を決定した(J.Biol.Chem.264:4476-4481,1989)。その結果、ヒトプロリダ-ゼ遺伝子は19番染色体上短腕に位置すると推定された。次に、ヒトプロリダ-ゼ遺伝子の構造を明らかにした(J.Biol.Chem.in press)。それによると、ヒトプロリダ-ゼ遺伝子は150kb以上の長さを持ち、15のエキソンに分かれていることが判明した。ヒトプロリダ-ゼ欠損症の解析も合わせて行ったところmRNA陽性例と陰性例があり(J.Clin.Invest.85:162-169,1989)mRNA陽性例では点突然変異(J.Clin.Invest.in press)、mRNA陰性例では遺伝子の部分欠失(J.Biol.Chem.in press)が存在していた。これらの研究の過程で、ヒトプロリダ-ゼ由来の遺伝子断片を数多く単離した。また、偽遺伝子が存在することも明らかにした。そこで、cDNAを用いた遺伝子mappingよりも、遺伝子断片を用いたmappingが必要と考え、米国のグル-プとの共同で、19番染色体の部分欠失を有する細胞株を約30種用い、特異的遺伝子断片を用いたmappingを試みている。その結果、19番染色体上長腕に、active geneが存在する可能性も示唆されているので、さらに詳細な検討を続けている。 我が国のMD家系の遺伝子解析も進めており、一部は既に発表した(日本小児神経学会、札幌、1989年7月)。
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