研究課題/領域番号 |
63571086
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
瀬戸山 千秋 熊本大学, 医学部, 講師 (60040250)
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研究分担者 |
赤星 泉 熊本大学, 医学部, 助手 (30145312)
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キーワード | OTC欠損症 / 先天代謝異常症 / 遺伝子解析 / サザンブロット法 / 遺伝子増幅 / 家系分析 / DNA診断 / 尿素サイクル |
研究概要 |
オルニチントランスカルバミラ-ゼ(OTC)欠損症の女児1症例、男児1症例について遺伝子解析を行い、更に男児症例の家系で出生前診断を行った。 [症例1]女児。1才11ヶ月時に最初の発作を認めた。肝臓のOTC活性は正常値の14%、尿中オロット酸は正常値の〜500倍。先に我々が明らかにしたOTC遺伝子の塩基配列構造を基に合成オリゴヌクレオチドを作製し、これを用いて各エクソン部分を増幅後、塩基配列決定を行った。その結果、対立遺伝子の一方で、第5エクソン内に148番目のロイシンをフェニルアラニンに変化させる一塩基置換を認めた。 [症例2]男児。第0生日に高アンモニア血症により発症し、第3生日に死亡。肝臓のOTC活性は検出されなかった。患者の肝臓と両親の白血球由来のDNAを用いて、Taql制限酵素切断によるサザンブロット解析を行った所、患者と母親で3.4kbの異常なバンドが検出された。先に我々は、同様の3.4kbのバンドが検出された女児症例の病因が第5エクソンのTaql認識部位内のナンセンス変異であることを報告した。そこで、PCR法により第5エクソン部分を増幅し解析した結果、ストップコドンを生じるC→Tの一塩基置換が検出された。 [出生前診断]症例2の患者の母親は、現在、第2子を妊娠中で、胎盤絨毛より女児であることが判明している。胎盤絨毛由来のDNAを用いてOTC遺伝子内の変異を検索した結果、対立遺伝子の一方に母親や第1子と同様の変異が存在していた。胎児については、出生後、無症状な場合から重篤な経過をとるものまで様々な可能性を考えておく必要がある。
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