研究課題/領域番号 |
63571090
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
力久 忠昭 千葉大学, 医学部, 助教授 (70012622)
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研究分担者 |
金久保 好男 千葉大学, 医学部, 教授 (30004873)
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キーワード | 少数デ-タ / シングルポイント法 / ベイジアン法 / 血中薬物濃度 / 定常状態濃度 / リチウム / アミトリプチリン / HPLC(高速液体クロマトグラフィ-) |
研究概要 |
個々の患者で薬物の血中濃度を測定してその患者における薬物濃度変化を予測することは治療計画のうえできわめて有用である。我々は薬物投与設計の際に使用することを目的として、少数回の採血デ-タからでも十分な精度で薬物濃度変化が予測できる方法を種々探索している。 本研究ではその一環として、シングルポイント法とベイジアン法をとりあげ、その有用性と限界を検討した。そして初年度は、主としてリチウムを対象薬として検討し、シングルポイント法、ベイジアン法いずれの方法でも1〜2週間の短期間内の予測性がきわめてよいことを認めた。また、1〜6ヵ月の長期投薬ではリチウムクリアランスが低下したため、予測性が低下した症例があった。 当該年度は、アミトリプチリンを対象薬に加えた。アミトリプチリンの定量はすでに前年度で確立したHPLC法により行った。初回量として75mg、維持量として25mgずつ毎日9、12、17時に投与し、定常状態(3週間以内)での最低血中濃度を求め、初回投与後の血中濃度から予測した値と比較した。5名の患者ではいずれの予測法でも誤差は約20%となったが、リチウムよりバラツキが大きかった。また1名の肝硬変患者ではいずれの予測法でも血中濃度を著しく低く予想する結果が得られ、パラメ-タが平均より大きく隔たっているときは予測性が悪いことが示された。また、3名の患者で2ヵ月〜1年に亘ってベイジアン法で検討したところ3平均誤差は約25%であったが、個々の測定点でのバラツキは短期間投薬の場合にくらべ大きかった。特に病状が不安定で他剤を種々併用しているような時期での予測性が悪かった。
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