研究課題/領域番号 |
63571092
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 賢一 京都大学, 医学部, 助教授 (70034030)
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研究分担者 |
斉藤 睦弘 京都大学, 医学部, 助手 (90186974)
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キーワード | 小腸上皮細胞 / 腎尿細管上皮細胞 / 刷子縁膜 / 吸収・分泌 / 有機アニオン / 有機カチオン / β-ラクタム抗生物質 / プロトン共役輸送 |
研究概要 |
前年度に引き続き、代表的薬物としてp-アミノ馬尿酸(アニオン)、tetraethylammonium(TEA、カチオン)、アミノ-β-ラクタム抗生物質(両性イオン)等を選び、H^+と共役する薬物輸送系を中心にして、それらのエネルギ-共役・調節機構、薬物輸送キャリア-の構造と機能等について検討を加えた。 1.膜蛋白修飾試薬で処理した膜小胞系による薬物輸送:(1)尿細管刷子縁膜のH^+/有機カチオン対向輸送系。H^+勾配非存在下におけるTEAの取り込みは著しいpH依存性を示し、またSH基修飾試薬PCMBSでの前処理によって顕著に阻害された。一方、ヒスチジン残基修飾試薬diethylpyrocarbonate(DEPC)で前処理した場合、TEA輸送はpH6-7で抑制されたがpH7.5では阻害されなかった。またDEPC処理によって、Vmaxが低下した。従って尿細管刷子縁膜のH^+/有機カチオン対向輸送系の活性調節には、SH基及びヒスチジン残基の関与していることが明らかとなった。(2)小腸刷子縁膜のH^+/アミノ-β-ラクタム抗生物質共輸送系(吸収)。ヒスチジン残基修飾試薬(DEPC)、カルボキシル基修飾試薬、チロシン残基修飾試薬を用いて刷子縁膜を前処理し、cephradine輸送における各残基の寄与について検討した結果、DEPCで処理することによってcephradineの輸送が特異的に阻害された。従って他のH^+共役輸送系と同様に、この輸送系においてもヒスチジン残基が輸送活性の調節に寄与しているものと考えられる。 2.病態時における薬物輸送の解析:急性腎不全ラット(ウラニル処理)の腎尿細管側底膜では、有機アニオン輸送能が低下し、刷子縁膜では有機カチオン輸送能の低下することが示された。従って、腎不全時における薬物の尿細管分泌能低下の機序は、両細胞膜に局在する有機イオン輸送系の違いによって異なることが推察された。
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