研究課題/領域番号 |
63571101
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (20012669)
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研究分担者 |
堀江 利治 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (90120154)
粟津 荘司 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60012621)
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キーワード | 吸収促進剤 / Eguivalent Pore半径 / 細胞間ルート / 細胞内ルート / 膜perturbation / 血流律速 / 膜透過律速 |
研究概要 |
難吸収性薬物cefmetazole,fosfomycinの空腸、結腸吸収はCaprate(C10)、Iaurate(C12)、taurocholate(TC)とoleateからなる混合ミセルにより、有意に増大され、その吸収促進は結腸の方が空腸より大であった。結腸膜のEguiualent pore半径は上記の有効な促進剤によりControlの1.4-1.8倍に増大し、イヌリンの透過も可能とした。このpore半径増大作用は他の促進剤caprylate(C8)、EDTA、TC単独よりも有意に大であり実際の促進作用とよく対応した細胞間ルートの変化を捉えることができた。n-butanol吸収より求めた非撹はん層の厚さも促進剤により有意に減少しており、膜面への拡散にも促進剤の影響が及んでいた。一方の空腸部ではどの促進剤でもpore半径は変化せず顕著な部位差が示された。細胞内ルートの変化は空腸及び結腸刷子縁膜(BBM)小胞を用いて膜蛋白質、脂質を蛍光試薬で標識し、C10とC8存在下での蛍光偏光解消度から膜perturbationの程度として求めた。その結果、C10は両部位の蛋白質、脂質に、C8は蛋白質のみにperturbationを起こした。またBBM小胞に封入した5(6)-carboxy-fluoresceinの放出性もperturbationの程度に応じて増大し、その変化は空腸部の方が結腸部より大であった。以上の結果、結腸部は両ルート共に、空腸部は主として細胞内ルートに促進剤の作用を受けるという部位差が示された。ラット摘出腸管血管同時懽流法により薬物吸収の血流律速性を検討した結果、fluorocarbon乳剤を血管懽流液に用いると従来の血球-アルブミン系よりもantipyrine(AP)、salicylic acid(SA)共、in situ系の結果と一致した吸収クリアランスが得られ、血中での蛋白結合性は吸収には影響しないことが示唆された。またAPはほぼ完全な血流律速、SAは血流と膜透過が約50%づつの吸収律速性を持つことが示された。今後は血球-アルブミン系における吸収低下機構及びひのときの吸収部位血流の変化並びに蛋白結合の関与について他の薬物も用いた検討が必要である。
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