研究課題/領域番号 |
63571102
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
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研究分担者 |
冨川 重治 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (40197918)
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 活性酸素ラジカル / 心筋小胞体 / 心筋形質膜 / カルシウム / 冠血管 / カルモジュリン |
研究概要 |
虚血心筋障害に活性酸素ラジカルが果たす役割に関する研究を行ない、分離イヌ心筋細胞膜下フラクションに対する活性酸素ラジカルの効果を明らかにすることができた。 1.活性酸素ラジカルは心筋小胞体(SR)内の自由Ca^<2+>を減少させた。これは、SR膜を介するCa^<2+>流出が増中した結果である。2.活性酸素ラジカルのSR膜を介するCa^<2+>流出の増加作用は、カルモジュリン依存性反応段階の抑制によってもたらされることが示唆できた。そして、活性酸素ラジカルによって生ずるCa^<2+>流出増大は、一部Ca^<2+>チャンネルを通過するCa^<2+>流出を含んでいる。3.筋原線維のCa^<2+>感受性は、活性酸素ラジカルに影響を受けない。4.筋形質膜(SL)のNa^+、K^+ーATPase活性は活性酸素ラジカルによって抑制され、これに連動したNa^+、Ca^<2+>交換活性は増強された。5.活性酸素ラジカルはイヌ摘出冠動脈を収縮させた。この反応は、内皮細胞依存性であった。したがって、内皮細胞由来弛緩因子(EDRF)の遊離抑制か、または内皮細胞由来収縮因子(EDCF)遊離増大を介する反応である可能性を示唆できた。6.以上の効果をもたらす活性酸素ラジカル種はハイドロキシルラジカル(^-OH)である可能性が強い。本研究で、^-OHが主として心筋細胞を傷害するラジカル種であり、SRからのCa^<2+>流出とSLを介するCa^<2+>流入をそれぞれ促進することによって、心筋細胞内Ca^<2+>蓄積を増大すると結論づけられた。また、収縮系蛋白のCa^<2+>感受性が活性酸素ラジカルに影響を受けないことから、活性酸素ラジカルが細胞内Ca^<2+>濃度を増加させた場合この増加に連動して心筋収縮系が活性化されることになり、これが虚血性心筋強縮発現メカニズムの基本である可能性が強い。また、^-OHが冠血管収縮作用を示すことを考慮にすれば、冠血管スパスムはH_2O_2から派生する^-OHに負うところが大であると解釈するべきであろう。
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