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1989 年度 実績報告書

大規模な検査情報を活用した、甲状腺ホルモン結合蛋白異常症の新病型の探索

研究課題

研究課題/領域番号 63571106
研究機関大阪大学

研究代表者

市原 清志  大阪大学, 医学部, 講師 (10144495)

キーワード甲状腺ホルモン / TBG / アルブミン / TBPA / 低T_3症候群 / コンピュ-タ解析
研究概要

大規模な甲状腺検査デ-タベ-スから、サイロキシン(T_4)結合蛋白(TBG)濃度と甲状腺機能検査値とが解離する143の症例を選択的に抽出した。今回その中にTBGや他の甲状腺ホルモン結合蛋白(TBPA,アルブミン)の質的異常例が存在しないかどうかを調べるため、各甲状腺ホルモン結合蛋白濃度を測定するとともに、各血清に^<125>IーT_4を添加して電気泳動した。まず一般検体79例を泳動して求めたT_4の3つの結合蛋白への結合率とT_4濃度・各結合蛋白濃度から、回帰により各結合蛋白の親和恒数の正常値を算出した。これをもとに、各症例の3結合蛋白濃度とその親和恒数から予測結合率を求め、それと実測結合率が一定以上解離する例を調べた。その結果、(1)R_4のTBGへの結合能の増加が疑われた症例が2例、TBPAとの結合が増加している症例が2例見いだされた。各症例の異なる時点の検体で泳動しても同様の傾向が見られたが、血清にも非標識T_4を段階添加して泳動したところ、健常対照と明瞭な差を見いだすことができなかった。一方、T_4と各結合蛋白の結合は正常でも、T3U値からT_3との結合に異常のあるものが7症例見いだされ、血清に^<125>I標識T_3を添加して泳動したところ、いずれもTBG後βグロブリン分画に長く尾を引く特徴的なパタ-ンが明らかとなった。また臨床的にはいずれも低T_3症候群として知られる慢性消耗性疾患で、本症候群の1つの病態としてTBGのT_3のへの結合能低下が示唆された。一方、1例にアルブミンが存在するにも関わらずT_3との結合が低下している症例が見いだされ、血清に非常識T_3を段階添加後泳動してもアルブミンの結合は増加しなかった。この症例は腎不全の患者で、当時肺炎を合併していた。回復後再採血し、アルブミンを単離精製したところ、T_3とアルブミン結合性は回復しており、アルブミンの一過性変性がその原因と考えられその機序につき現在検討中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 市原清志: "広範な検査デ-タベ-スからの新しい診断指標の構築とその活用:甲状腺結合蛋白異常症の新しい病型と求めて" 臨床病理. 特75. 123-130 (1987)

  • [文献書誌] 市原清志: "老化と内分泌機能.検査デ-タベ-スからみた機能的プロフィ-ル" 臨床病理. 36. 1169-1176 (1988)

  • [文献書誌] Kiyoshi Ichihara: "Analysis of overall pathophysiological relationships between serum levels of TSH and thyroid hormones using a large laboratory database" Endocrinol.Japan. 36. 373-380 (1989)

  • [文献書誌] 市原清志: "日常検査情報を利用したび病態生理情報のプロフィ-ル化" 臨床病理. 特93. 39-53 (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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