研究概要 |
日本人には稀とされてきたβサラセミアはその診断学の普及とともに次第に発見されるようになってきた。しかし、その確定診断たる遺伝子分析は煩雑であり、また、日本人βサラセミア遺伝子の詳細も明らかとはなっていない。我々はPCR法を応用した直後クロ-ニング法、並びにビオチン標識オリゴヌクレオチド・プロ-ブによるドット・ハイブリダイゼ-ションを開発し(昭和63年度)、臨床的にサラセミアと考えられている30家系につき遺伝子分析を行なった(平成元年度)。 (1)先ず直後クロ-ニング法により11種類の日本人βサラセミア遺伝子を明らかにした。(2)さらに、そのうちの6種類につき、それぞれの変異に特異的なビオチン標識オリゴヌクレオチド・プロ-ブを作成し、未同定の家系も含めた30家系全てにつきドット・ハイブリダイゼ-ションを行なった。その結果、合計23家系につき遺伝子異常を決定することができた(表)。 以上より、日本人βサラセミア遺伝子は多種類に及んでおり、総家系数の半数は日本人固有の変異であることがわかった。本法は比較的簡単に遺伝子異常を同定できるので、血色素異常など他の先天性異常にも応用を試みたい。変異部位 家系数 変異部位 家系数-31 cap A→G 3 IVS2,654位 C→T 1開始コドン ATG→GTG 2 IVS2,848位 C→G 1コドン24 GGT→GGA 1 コドン 90 GAG→TAG 1コドン26 GAG→AAG 1 コドン 110 CTG→CCG 1コドン41-42 TTCTTT→TT6コドン127-128CAGGCT→CCT4IVS2, 1位 G→A 2
|