研究課題/領域番号 |
63571111
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
和田 孝雄 慶応義塾大学, 医学部・内科学, 講師 (10090036)
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研究分担者 |
出口 修宏 慶応義塾大学, 医学部・泌尿器科学, 講師 (90118977)
松尾 宣武 慶応義塾大学, 医学部・小児科学, 助教授 (50173802)
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キーワード | 臨床検査デ-タ / 時系列解析 / 自己回帰モデル / 免疫ネットワ-ク / 内分泌ネットワ-ク / フィ-ドバック / パワ-寄与率 / インパルス応答 |
研究概要 |
昭和63年度の研究により、生体内のネットワ-ク解析に多変量自己回帰モデルが有用であることの確認が得られた。平成元年度は、まずインパルス応答や赤池のパワ-寄与率を求めるにあたって、デ-タの非定常性をどう扱うかという点についての検討を行なった。すなわち、31名の慢性透析患者の7-10年にわたる時系列デ-タについて、生デ-タの1回階差をとったり、ハミングウィンドウなどを用いて前処理を行なってから解析した。これを前処理なしの解析結果と対比させながら、非定常デ-タを定常時系列にするために最適のフィルタ-を決定することを試みた。その結果、多変量の場合には一変量の解析とは異なり、前処理を行なうことによって、各変数間の関係が異なって来る可能性が示唆された。この解析結果にもとづき、上記の操作を免疫ネットワ-クおよび内分泌患者のネットワ-クの解析においても繰返し行ない、上記の結果が一般性を有することを確認した。 結論的にいえば、この研究の初期の目的はほぼ順調に達成しつつある。しかし、一般の時系列解析の手法では越えられない問題点が存在することが判明した。その最たるものは、臨床デ-タの持つ特性である。つまり、大体において多くのデ-タがトレンドと呼ばれる低周波成分を含んでおり、この取扱いに苦慮することとなった。他の学問領域たとえば経済時系列の解析などでは、トレンドは単純に取除いて解析するのが常識になっている。しかし、生体のネットワ-ク解析では、これを単純に取除くと、各変数間の関係がもとの状態とは変化してくる。したがって、得られたネットワ-ク構造が生体のそれを忠実に反映しない恐れがある。今後はこの点の実際的な処理方法を、統計学者などの意見を入れながら考案する必要性がある。(最終年度報告参照)。
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