研究概要 |
1.研究目的:本研究では、1ーメトキシフェナジンメトサルフェートおよびイソルミノールによる還元型ニコチンアデニンジヌクレオチド(NADH)の高感度な化学発光分析法に基ずくNADH、NADPHの生成に関与する種々の脱水素酵素およびそれらの基質となる生体成分の測定法の開発、応用を検討する。 2.本年度の研究成果: 1)17αーヒドロキシプロゲステロンの化学発光酵素イムノアッセイ法の開発 標識酵素としてNADH産生酵素であるグルコースー6ーリン酸デヒドロゲナーゼとグルコースデヒドロゲナーゼについて検討した。前者の方が感度、精度共に優れていた。至適条件下での17αーヒドロキシプロゲステロンの検出感度は40フェムトグラムであり、従来検討してきた各種の酵素イムノアッセイの中では最も高感度であった。先天性代謝異常症検査用の乾燥濾紙血液ディスク(直径3ミリ)中の17ヒドロキシプロゲステロンの測定に応用し、従来法のによる測定値とよい相関(Y=0.98X-1.25,r=0.973)を得た。(分析化学:vol.37,No.4,185ー189) 2)3αーヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3αHSD)を固定化酵素リアクターとする胆汁酸のフロインジェクション(FIA)分析法の開発 3αHSD固定化酵素リアクターとするFIA装置により胆汁酸は3ーケト胆汁酸に、NADはNADHとなる。生成したNADHをフローシステムで化学発光検出する分析システムを開発した。血清中の全胆汁酸の測定に応用した。検出感度は5ピコモルで、従来法(吸光度法)に比べて50倍の高感度であり、また相関はY=1.17X-3.42,r=0.975,n=49であった。(第5回生物化学発光国際シンポジウム発表、イタリヤ、1988年9月) 4)βーDーガラクトシダーゼ、グルコースー6ーリン酸デヒドロゲナーゼ、アルカリホスファターゼの化学発光分析法の開発:いずれも最終段階でNADH/1ーメトキシフェナジンメトサルフェート/イソルミノールによる高感度な化学発光分析法を開発した。(第5回生物化学発光国際シンポジウム発表、イタリヤ、1988年9月)
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