化学発光法によるNAD(P)H測定法の臨床化学分析への応用

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63571112
• 研究機関: 昭和大学
• 研究代表者: 辻 章夫 昭和大学, 薬学部, 教授 (80053784)
• 研究分担者: 武田 素子 昭和大学, 薬学部, 助手 (70053973) ; 荒川 秀俊 昭和大学, 薬学部, 専任講師 (70129807) ; 前田 昌子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00053869)
• キーワード: 化学発光 / NAD(P)H / 酵素 / 液体クロマトグラフィ- / ルミノ-ル / 固定化酵素 / 胆汁酸 / グルコ-ス

研究概要

1.研究目的:本研究では、1-メトキシフェナジンメトサルフェ-トおよびイソルミノ-ルによる還元型ニコチンアデニンジヌクレオチド(NADH)の高感度な化学発光分析法に基ずくNADH、NADPHの生成に関与する種々の脱水素酵素およびそれらの基質となる生体成分の測定法の開発及び応用を目的とし検討する。
2.本年度の研究成果:
1)酵素サイクリング法を用いるNADHの超高感度化学発光分析法の開発とその酵素活性測定法への応用:微量のNADHをリンゴ酸脱水素酵素とアルコ-ル脱水素酵素を共役させた系によりNAD/NADHのサイクリング反応をさせ、増幅生成したリンゴ酸に過剰量のNAD^+とリンゴ酸脱水素酵素を加え、NAD^+をNADHに変換し、既報の化学発光法により測定するシステムである。NADHの検量域は30fmol-6pmol/assayで、既報の方法に比較して約300倍感度が向上した。本法によりグルコ-ス-6-リン酸脱水素酵素の定量に応用したところ、3x10^<-21>-3x10^<-17>mol/assayの検量域で測定可能であり、従来の方法に比べ約100倍高感度化することができた。
2)3α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(3α-HSD)を固定化酵素リアクタ-とする胆汁酸の化学発光高速液体クロマトグラフィ-:前年度に確立した胆汁酸の化学発光フロ-インジェクション分析法を胆汁酸の高速液体クロマトグラフ(HPLC)の検出部に組み込み、高感度な胆汁酸の化学発光HPLC法を確立した。本法によりヒト血清中の胆汁酸を分離定量することができた。

研究成果

• [文献書誌] M.Maeda et al.: "Chemiluminescent Assay of Various Enzyme Activities and its Application to Enzyme Immunoassays" J.Bioluminescence and Chemiluminescence. 4. 140-148 (1989)
• [文献書誌] A.Tsuji et al.: "Chemiluminescent Assay of Co-factors" J.Bioluminescence and Chemiluminescence. 4. 454-462 (1989)
• [文献書誌] Y.Uji et al.: "Chemiluminescent Determination of Nonesterified Fatty Acids in Serum" Clinical Chemistry. 35. 325 (1989)
• [文献書誌] A.Tsuji et al.: "Chemiluminescent Enzyme Immunoassay.A Review" Analytical Sciences. 5. 497-506 (1989)
• [文献書誌] M.Takeda et al.: "Chemiluminescence HPLC of Corticosteroids Using Lucigenin as Post-column Reagent" Biomedical Chromatography.
• [文献書誌] M.Maeda et al.: "Chemiluminescence HPLC using 3α-Hydroxysteroid Dehydrogenase Post Column Reactor and Isoluminol-Microperoxidase" J.Chromatography.
• [文献書誌] 辻章夫(石川栄治編): "エンザイムイムノアッセイ" 東京化学同人, 497 (1989)
• [文献書誌] 辻章夫(今井一洋編): "生物発光と化学発光(基礎と実験)" 広川書店, 284 (1989)