研究課題/領域番号 |
63571115
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
河野 均也 日本大学, 医学部, 教授 (60059368)
|
研究分担者 |
板垣 昌樹 日本大学, 医学部, 助手
馬場 俊一 日本大学, 医学部, 助手 (30102479)
|
キーワード | ライム病 / Borrelia burgdrferi / 免疫ペルオキシダーゼ法 / シュツルエマダニ |
研究概要 |
1976年、米国コネチカット州で最初に報告されたライム病はダニが媒介するスピロヘータ感染症でBorrelia burgdorferiがその病原体であることが確かめられている。本症の本邦における第1例は日本大学医学部臨床病理学教室の川端真人が1986年に報告している。我々は米国エール大学より分与されたB・burgdorferi T-17株を用いた血清学的診断法を開発し、今年度は主として疫学的調査を実施した。 〔酵素抗体法によるB・burgdorferi抗体検出法〕B・burgdorferi T-17株を用いた免疫ペルオキシダーゼ法を開発し、検討した結果、陽性例については米国CDCにおいてELISA法で測定された結果とよく一致し、従来より交差反応を示すとされている梅毒血清反応陽性例や抗レプトスピラ抗体陽性例とは10%以下の頻度で偽陽性反応を示すものの、臨床的には十分応用可能であることを確認した。 〔疫学調査〕マダニ咬傷を受ける機会の多い自衛隊員の協力をえて、北海道、千葉県、東京都および宮崎県在住の隊員合計694例について検索した。その結果、陽性例42例はすべて北海道在住の隊員であり、他県の隊員についてはマダニ咬傷の既往がきわめて高頻度に認めせれるにもかかわらず、すべて陰性であった。この成績は本邦第1例目の症例に認められたベクターであるシュルツェマダニの棲息分布と一致するものであり、本邦におけるライム病の危険地域は北海道から本州中部にかけてであると推定された。 〔今年度完成できなかった部分〕ベクターであるマダニからB・burgdrferiを分離する計画であったが、いずれも雑菌混入のため失敗に終わった。明年度以降はライム病患者およびマダニからの病原体検出を引続き行う。 今年度は一般新聞紙上にまでライム病が取り上げられ、予期以上の成果が上ったと確信している。
|