アルコール依存症の親をもつ子ども達と面接し、また必要に応じて家庭訪問を行い、身体的、精神的、社会的問題の有無を調査した。あわせて、子どもに問題が生じた時のアルコール依存症者とその配偶者の対処の仕方についても調べ、また子どもを援助すべき専門家(保健婦、保母教員など)の対応についても情報を集めた。その結果、 1、子ども達の問題はアルコール依存症による家庭内トラブルが生じた時の子どもの年齢が幼なければ幼ないほど、重篤である。 2、問題を生じた子ども達への直接の援助も、親に対する援助も、当事者が満足できるような援助はなされていなかった。 3、その理由として、援助者にアルコール依存症が家族全体の病いであることの認識が欠けていることがわかった。 以上のことを踏まえて、保健所や市町村の保健婦、児童相談所のワーカー、福祉事務所のワーカー、病院のPSWなど、多くの職種の集まる自主研究会と協力して、アルコール依存症者への対応の仕方、家族の問題、子どもの問題について事例検討を通して、問題の明確化と援助者のあり方などについて理解を深めている。
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