前年度ではアルコ-ル依存症者を親にもつ子ども達の身体的、精神的社会的問題を明確にし、さらにそれらの子ども達や親への援助が十分でないことも明らかになった。今年度は学校場面で子ども達がどのような問題をもち、どのような援助がなされているかを、小中学校の養護教諭へのアンケ-ト調査等によって分析した。その結果、 1.アルコ-ル依存症者を親にもつ子ども達は、親の養護がいきとどかなかったり、子ども自身の社会性の欠如、担任の教員の無理解などにより、いじめの対象となったり、情緒不安定な問題児とか、成績不振児とみなされていた。 2.小学校の8%、中学校の21%の養護教諭が親の飲酒問題が判明したケ-スを体験していた。 3.アルコ-ル依存症の相談を受けて悩んだり、教員、生徒の飲酒問題に対処するために小学校で54.4%、中学校で83.8%の養護教諭がアルコ-ル依存症の知識を得たいと希望している。 子どもは親を選ぶことができないので、子どもの成長、発達を援助する保健婦、保母、養護教教諭等の専門職は、家族全体の病いであるアルコ-ル依存症について十分な理解をもち、子ども達を支え、健全な成長をとげるように援助すると共に、少しでも早く親のアルコ-ル依存症者を専門の治療機関に結びつけるように働きかける必要があると思われた。 さらにアルコ-ル症の専門外来において、家族教室を開催し、家族の問題、子どもの問題について指導、援助を行っている。
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