マウスの尾静脈から真菌を感染させた菌血症モデルを用いて、各種BRMの感染防御効果を検討した。その結果、現在BRM系の抗癌剤として臨床的に用いられているレシチナン、さらには臨床応用への基礎的段階にあるレバミゾールにおいて、極めて強いカンジダ感染に対する防御作用を有することを認めた。これらのBRMでは、カンジダ感染前の投与のみでなく、感染後の比較的早い時期の投与でも効果が認められ、治療効果も確認できた。またレンチナンとレバミゾールの感染防御効果の発現に重要な役割を果たすエフェクターの解析を進めた結果、レバミゾールでは、インターフェロン(IFN)が、レシチナンではインターロイキン(IL)が重要であることが明らかとなったことから、実際に組換え型IFNおよびIL-1を用いて検討した。その結果、IFNでは、はっきりしたdose-responseのある結果は得られてなかったが明らかに感染防御効果を認めた。またIL-1で1μg/mouseの投与で、約60%以上のマウスが生存するという極めて強い感染防御効果が確認でき、BRM投与によって生体内で産生されるエフェクターの一つであるIL-1が感染防御効に重要であることが明らかとなった。また、同様に感染等において、生体内で産生することが知られているサイトカインであるTNFにおいても感染防御効果を確認することができた。このTNFの作用は、むしろ感染後の治療において優れていた。 これらBRMと抗真菌剤との併用を、マウスを用いて検討した結果、菌血症モデルでは、アムホテリシンBとレンチナンとの併用で相乗効果が認められたが、その効果は、投与スケジュールにより、幾分異なることも観察している。
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