研究概要 |
逆転磁場配位(FRC)の研究の主要課題は安定な平衡配位の実現と低速形成法の確立にある。本研究は今後の大型装置を用いた長時間プラズマ閉じ込めの達成にとり必須の要件である後者の課題解決に関し、FRC形成前に印加されるバイアス磁場の空間配位に着目し、これを強いミラー配位とすることにより初期プラズマの高パラメータ保持と磁力線再結合時のプラズマ-磁場挙動の時空間制御を行うことから、低速形成のためのバイアス磁場条件を明らかにすることを目的としてきた。 この目的に沿い以下の項目の研究を順に実施した。 (1)ミラー配位バイアス磁場発生の数値シミュレーションコイル内の過渡的電流流れによる表皮効果を考慮した磁場・電磁応力の計算コードを開発し、一巻きの既設テータコイル及び多数回巻き新設補助コイルについてシミュレーションを行った。電源特性を種々変更し既設コイルと補助コイルの合成磁場分布,応力分布を求め、バイアス磁場ミラー配位化のための装置設計に供した。 (2)5回巻き補助コイルとよび同電源用コンデンサバンクの設計と建設コイルの機械的支持と電気的絶縁を超高分子量ポリエチレン材を用いて同時に果たす新考案の5回巻き補助コイル(一対)と同コイルへの給電電源として充電エネルギーの10KJのスローバンクを設計・製作し、既存テータピンチ装置へ組み込み、所期の性能を有する装置を建設した。 (3)ミラー配位バイアス磁場の実測磁気プローブによりバイアス磁場の軸方向成分強度分布(コイル軸方向,径方向)を実測(継続中)。 (4)外部磁場をミラー及びカスプ配位とした場合のFRC平衡計算装置建設に並行し、境界要素法による新平衡解析を行った(継続中)。 今後半年以内に新バイアス磁場下での予備電離プラズマ,FRCプラズマ生成実験からバイアス磁場のミラー配位化効果を明らかにする。
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