研究概要 |
本年度行なった主な研究は次の通りである。1.今までの理論・実験両面からの研究の成果として,フラックス・コンサーバー(FC)にあるプラズマ導入口の影響を打ち消すことが出来て,全ての磁気面をFCの内部で閉じさせることが出来た。FCに中心導体を挿入すると,我々の研究室で行った理論解析によると,プラズマの安定領域は広がるが,実験結果としては,プラズマのlife timeは殆ど変化しない。一方,中心導体を持たないFC内の磁場測定が詳しく行われた結果,フラックスホール(FH)と呼ばれるトロイダル磁場がゼロである領域が,対称軸の近傍に存在することが分かった。このFHはプラズマ外周部の磁力線が,外部コイルのカバーを横切るために生じると考えられる。この考えにもとずく2つのモデルを用いて,FHのプラズマ閉じ込めに対する影響を調べた。その結果,FHは内部モードに対してはプラズマを安定化する効果があることが分かった。2.軸対称抵抗性MHDコード,TSC(Princeton Tokamak Simulation Code)を用いて,スフェロマックの非局在化モードに対する安定性を調べた。その結果,プラズマの拡散係数,熱伝導率として古典値の50〜100倍の値をとってシミュレーションを行うと,磁気軸近傍に集中する電流分布が得られる。一方,実験でもプラズマ生成後,時間が経つにつれて,プラズマ電流が磁気軸近傍に集中する結果が得られている。従って,このシミュレーションの結果は実験事実とよく一致している。また,シミュレーションを行なった範囲では,スフェロマックは軸対称抵抗性モードに対して安定で,その配位の時間的変化は抵抗性拡散によるものであることが確認された。残された問題は,プラズマの拡散係数,熱伝導率として古典値の50〜100倍の値をとる必要性の物理的説明である。3.スフェロマックの新古典輸送係数を具体的に計算するための公式を導いた。
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