本研究では、大阪大学工学部渡辺研究室の実験装置(CTCC-II)と同じ形及び大きさのプラズマの閉じ込めの改良を理論的に研究することにより、スフェロマック プラズマ全体に共通な物理を理解し、研究課題の達成を目指した。具体的には、 1.TSCコ-ドによる安定性解析 2.フラックス・ホ-ルのあるスフェロマックに対する中心導体と外部コイル電流の影響 3.スフェロマックの平衡諸量に対するプラズマ回転の影響 4.圧力勾配を持つフラックス・コア・スフェロマックの平衡と安定性 5.電子サイクロトロン共鳴吸収を用いた電流駆動の効果 の5つのテ-マについて研究を行った。テ-マ1.で用いたTSC(Princeton Tokamak Simulation(ode)は、軸対称抵抗性MHDコ-ドである。このコ-ドで解析の結果、スフェロマックは軸対称な運動に対して安定であることと、拡散係数と熱伝導係数を古典値の100倍に対しとれば、実験結果を説明できるなどの結果が得られた。2.では、フラックス・ホ-ル(FH)のあるスフェロマックに中心導体を挿入した場合、その安定化効果はプラズマ電流の分布による。FHがない場合に比べて、FHが出来るとプラズマの閉じ込めは格段に良くなる。最適化された圧力分布の場合でも、β_<max>は大きくても6%である。3.はまだ予備的研究の段階であるが、実験結果を定性的には説明できることが分かった。4.と5.は電流駆動を目指したもので、実験室で作られたスフェロマック・プラズマの電気抵抗は零でない。そのため、磁場拡散により磁場は不安定性がなくても消滅してしまう。これを補う必要がある。これに関する基礎研究を行った。 以上の研究成果が示すように、本研究の目的は達せられた。
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