太陽風プラズマは磁場を伴って、太陽コロナから広大な惑星間空間へと、流れ出る。太陽の自転の効果により惑星間空間磁場が螺旋構造をつくるが、その全体構造を理論・シミュレ-ション解析により明らかにすることが本研究の目的であった。 本年度は前年度に引き続き、太陽近傍の太陽風プラズマ及び磁場構造を軸対称系MHDコ-ドを用いて解析を行い、以下の点を明らかにした。 1.放射状磁場配位の場合 この場合、磁場配位が単純であるため、別の解析法により定常解を得ることが出来る。従って、それとの比較により、我々のシミュレ-ション解析の信頼性のチェックが行える。前年度は定性的によい一致が得られることを明らかにしたが、今年度は定量的な比較を詳細に行い、大変よい一致を得られることを明らかにした。これにより、我々の解析が十分に信頼性のあることが確認された。 2.双極子磁場配位の場合 この場合は太陽磁場配位の代表的なものであるが、他の方法での解析は不可能であり、我々のようなシミュレ-ション解析の独壇場である。前年度は惑星間空間中で、低緯度帯の閉じた磁場領域と、中・高緯度帯の開いた磁場領域とで磁場の螺旋構造が異なること等を明らかにした。本年度は更に詳細に解析した結果、閉じた領域と開いた領域との協会で、トロイダル電流及びヘリカル電流も、夫々に、はっきりと区分されていること、但しそれは磁場強度が強い、いわゆる低ベ-タプラズマでのことであり、磁場強度が弱いと境界での区分がはっきりしなくなること等を明らかにした。 以上の諸点を明かにしたことにより、2年間にわたる本研究は基本的に当初の目的を果たすことが出来た。
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