1.グラフ理論による数式微分の手法により関数の偏導関数を求めるプリプロセッサをC言語を用いて作製した。 2.上記1.のプリプロセッサを用いて高速に計算機上で関数の偏導関数を計算でき、これが高精度数学ソフトウエア開発の道具として有用であることが確かめられた。 3.非線型連立方程式の解をニュ-トン法で計算するためのプログラムを作製した。このとき実際に数式微分のためのプリプロセッサを用いることにより、テスト問題に対して高精度かつ高速に解に収束した。 4.関数の数値計算結果に必然的に含まれる誤差(丸め誤差の累積に帰因する)の推定を行うプログラムを作った。数式微分と区間解析の手法を組合わせることにより、計算結果の精度を精密に推定できる。 5.激しく振動する関数の積分の近似値を高精度で能率的に求める自動積分のためのプログラムを作った。要求精度を満足するまで近似値の列を再帰的に作る。このために、積分区間を関数の変化に対応して適応的に分割してゆく、各小区間の積分値は、関数の1階微分係数の知識を利用したエルミ-ト補間に基づいて求められる。数値実験の結果、使用するエルミ-ト補間多項式は低次式である方が能率的であることがわかった。 6.今後、数式微分を利用して積分区間内に発散する点をもつ特異関数の一次元積分や多重積分のための高精度プログラムを開発したい。
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