複数の画像情報の間に存在する類似性を連想形記憶を用いて評価する方法を確立するため、各種の連想形記憶に対してその連想動作を理論的に解析し、その並列処理機能、記憶事項参照能力、画像情報の類似性の評価能力等を比較・検討した。また計算機械シミュレーションによりその結果を確認した。検討を行った連想形記憶は、従来の連想形記憶の中で最も代表的な相関行列型、ベイズ型、一般逆行列型の3種、新たに本研究で提案した連想形記憶、Hopfield型の連想形記憶の合計5種類である。 その結果、以下のことが明らかとなった。 1.相関行列型の連想形記憶はシステムの設計・構成は最も容易であるが、連想の機構に相関行列を用いているため、画像情報の類似性の評価結果は従来の「内積に基づく方法」とほとんど変わらない。 2.ベイズ型の連想形記憶は、これまでパターン識別(認識)等に用いられてきた平均誤り率最小規範に基づく連想・識別を行うため、画像情報の類似性の評価には適している。 3.一般逆行列型の連想形記憶は高い連想能力・記憶事項参照能力を示すが、画像情報の変形に対して連想動作が不安定になることがある。 4.新たに提案した連想形記憶は、一般逆行列型の連想形記憶の持つ高い連想能力・記憶事項参照能力を保持し、かつ安定な連想動作を実現するため、画像情報の類似性の評価には最も適している(発表論文参照)。 5.1〜4で検討した連想形記憶一層のフィードフォワード型であり、その連想能力には一定の限界があるのに対し、Hopfield型の連想形記憶はフィードバック型であり、その連想能力は高い。また、画像間の類似の状況をエネルギー関数として表現できるため、類似性の評価には有利である。しかし、画像の類似性を拘束条件として回路定数に反映させる必要があるため、システムの設計・構築・動作解析はかなり困難である。
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