大連理工大学と共同で研究を行い、日本側では主として中国語から日本語への翻訳システムの検討を行った。中国側とは、63年9月大連理工大学(遅忠先、計算機科学工程系副教授)に赴き、研究打ち合せを行った。そこで、入出力の問題、解析方式、辞書の形式に関して検討を行い、基本方針を決定した。 1.中国語の入出力方式の検討 同音語の多い中国語に対する効率的な漢字入出力の方式が必要であるが、当面はNiHaoーFPをフロントプロセッサとして使用し、ピンイン入力で、かつ単語単位の分かち書きを採用した。将来は中国側の協力を得て独自の入力法を開発し、ベタ書き入力にも対処する予定である。また中国語の出力法の検討も行う。 2.解析法について (1)構文解析のあいまいさを減らすため前処理を行うものとし、そのための情報として、介詞、助詞、副詞、連詞、方位詞などの使用法を分析し整理した。 (2)中国語の文法書・解説書を使用して、構文規則の作成、動詞パターンの分類作業を現在行っている。 3.対訳辞書 日中英10万語大辞典を利用して、主として情報処理関連の用語の対訳辞書作成の準備を行っている。 4.当初の計画であった意味情報の取り入れと翻訳実験は、平成元年度に実施する。翻訳実験のテキストは、共通の英文の技術文書(主として人工知能関係の文献)を日本語、中国語にそれぞれ手作業で翻訳し、推敲したものを使用する予定である。
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