本研究はマウス、ラットにおけるLinkage解析において有用となる高多型性を示すDNAマ-カ-を見いだし、そのDNAマ-カ-について染色体上の位置を明らかにする。また、多型のうち、Variable Number of Tamdem Repeat(VNTR)によるものについては、Germ-lineでどの程度安定に保たれるか検討を加えることを目的とする。平成元年度までの研究成果並びに進行状況は以下のごとくである。 マウス、ラットのGenemic Libraryから分離したクロ-ンについてBiotin標識、によりDNA Probeを作成し、マウス、ラットについて遺伝的変異を検出しやすいと思われる系統それぞれ5系統を選び、抽出したDNAについてヒトで多型が多く認められている制限酵素を用い、サザンブロットによりRFLPsを示すクロ-ンのスクリ-ニングを行った。現在まで検討したなかではまだRFLPsを示すクロ-ンは得られていない。引き続き、検討を要する。DNAマ-カ-を染色体に帰属する方法として従来はProbe DNAをラジオアイソト-プ標識によるin situ hybridization法は結果がでるまで3週間程度を要すること、多くの経費を要すること、R1を使うことによる危険性があること、標識したProbeの保存ができないことなど種々の問題がある。迅速で経済的な方法を検討した。その結果、Probe DNAをBiotinで標識し、金コロイド結合した抗体で検出する方法を確立した。この方法によりマウスとラットのミエリン塩基性タンパク質遺伝子(Mbp):マウスのアルギノサクシネ-トリア-ゼ遺伝子(Asl):アルギノサクシネ-トシンセタ-ゼ遺伝子(Ass)のマッピングを行いこれらの遺伝子の染色体上の位置を明らかにした。またAs1については多型が見られることから、DNAマ-カ-として利用できることから、現在この遺伝子のlinkageマップを検討している。これらの結果については投稿中あるいは投稿準備中である。
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