1.前年度作製したスンクス用脳定位装置を用いて、雌雄スンクスを麻酔下に保定し、保定の安定度を検討する為に電極を入れてその位置を確認した。この結果説吻-尾方向および正中-外側方向には安定した位置に定位していることが確認された。しかし、背-腹方向にはイア-バ-0を基準にする限り不安定であることがわかり、本研究では脳表面の高さを基準とする方が実用的であるとの結論に達した。 2.麻酔下に動物を定位装置に保定後麻酔薬の過剰投与により屠殺し、歯科ドリルのカッタ-で正中面、種々のレベルでの横断面を作製し個体の大きさによる補正方法を検討した。検討は眼鼻長、頭長、頭幅を計測し、イア-バ-0面から前交連、小脳尾側端までの距離及び脳幅、脳高の値を比較することによって行った。その結果頭長-眼鼻長=(外後頭部〜眼中心の距離)の値で補正するのが最も良いとの結論に達した。 3.横断、矢状断、水平断のセロイジン30μ、パラフィン10μの完全連続切片から写真を作製し、上記2によって得られた方法で補正したスケ-ルを記入して脳定位図譜を作製した。 4.スンクスは嗅覚系、三叉神経系、顔面神経系等が巨大に発達している一方、新皮質、小脳、視覚系等の発達ははなはだ乏しい。このため脳神経核や神経路の配列がげっ歯目、食肉目等に比較して大きく異なっており、これらの同定、正しい命名については慎重を期さざるをえず今後の課題として残した。 5.今後の研究の発展方向としては、作成した図譜を用いて実験神経学的に核や路の同定を行うと共に、画像解析ソフトを用いて核や路の位置を立体表示する方法を検討中である。 なお、図譜については図書として出版することを計画している。
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