全国の国立及び私立大学の共同利用動物実験施設44機関のPneumocystis carinii(以下Pc)の汚染状況を調査することができた。462匹のヌ-ドマウス(Pcフリ-を確認したコロニ-由来)が3-10匹単位で、マウスの飼育室に分配され、各々の飼育管理方法で飼育された。予定した6カ月の飼育期間を満了して回収されたA群は398例(回収率86.1%)、4カ月未満に死亡してホルマリン固定された肺が回収されたB群は20例(回収率4.3%)、4カ月から6カ月の期間に死亡して同様にホルマリン固定肺が回収されたC群は31例(回収率6.7%)であった。残りの13匹(未回収率2.8%)は回収できなかった。集シスト法によるPc陽性は上記のA、B及びC群でそれぞれ83/398例(20.9%)、0/20例(0%)、及び6/31例(19.4%)であった。モニタ-動物の飼育期間が4カ月以上のA群とB群の成績をもとにPc汚染の実態調査成績を集計した。43例中12例(27.8%)の動物実験施設等にPc汚染が検出され、陽性動物数は435例中89例(20.5%)であった。69例の有効調査飼育室のうち17室(24.6%)がPc陽性であったが、収容動物がSPF(10/57、17.5%)であるか、あるいはコンベンショナル動物か(7/12、58.3%)でその陽性率は大きく異なっていた。また、SPFを自家繁殖している群は、市販のSPFのみを飼育している群と比較して高いPc陽性率であった。エア-フロ-ラック使用群と普通の飼育棚を使用している群とを比較すると前者が10/53(18.9%)で、後者が7/16(43.8%)であった。その他の要因を加味する必要はあるが、エア-フロ-ラック使用群では低い陽性率であった。
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