研究概要 |
私たちの研究目的は、諸外国において施行されている動物実験あるいは実験動物に関わる法律,規則,指針,その他(以下法規等)をできるだけ収集,分析し,わが国の法規等との異同について検討し,わが国と諸外国との動物実験ないし実験動物に関わる法規制の格差是正に資することである。 私たちは,これまでに諸外国の法規等を多数収集し,一部は原文のまま,一部は和訳して比較検討を続けてきたが,とくに本年度は,アメリカ合衆国「動物福祉法」,ベルギ-玉国「動物保護法」,スウェ-デン王国「動物保護法」,中華人民共和国「上海動物実験施設条例」等を和訳し,また,10篇を超す各国の法規制に関連する解説(綜説等)を検討した。 また,本研究とは別のものであるが,平成元年度文部省科学研究費補助金「国際学術研究」(課題番号:01041117)の交付を受けて,北米における動物実験のオ-ルタナティヴの実情について調査し,収集した法規等の紹介を兼ねた報告書を公表した(アニテックス,2(5),220〜267,1990)。さらに,わが国の法規制の将来について格別の興味を抱く数名の有志と図り,私的な検討会を発足させた。 以上の研究を総括すると,法律条文上は,わが国の諸外国の間にそれほど著しい差異は見出せないが,法律等の制定趣旨,その運用の実態に踏込んで考察すると,少なくない問題点が浮かびあがってくる。その詳細については,「研究成果報告書」に記述する。
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