近年、日本型食生活が見直されているが、その一つとして動物性タンパク質の1/2を水産物から摂取していることが挙げられている。水産資源の中で栽培漁業の重要性は今後もますます高まり、養殖魚の生産の増大が見込まれている。しかし、一般に養殖魚は天然魚にくらべ、脂っぽい、テクスチャ-が劣る索といわれている。養殖魚のテクスチャ-を改善するためには、天然魚にくらべ、本当にテクスチャ-が劣るのか、もしそうであれは、どの程度で、その差は魚種によってちがいはないのか等、正しく把握する必要がある。そこで、マダイ、ヒラメ、ハマチの養殖魚と天然魚を年間を通じて入手、テクスチャ-に関する官能検査および客観的測定を行った。官能検査によれば、いずれの漁種も養殖魚は好まれず、テクスチャ-が好まれないことと一致した。生間について6項目の、一定条件で加熱した間について7項目の物性測定を行い、その結果から、魚種ごとに判別分析を行った。魚種ごとに得られた判別比は養殖魚と天然魚の類似性のめやすと考えることができる。それによれば、生間の場合、最も類似している魚種はヒラメでマダイが次ぎ、ハマチは最も差が大きかった。ところが加熱するとヒラメは最も差の大きい魚種となり、マダイ、ハマチは生の場合より差が小さくなった。このことは養殖のヒラメは生で、マダイとハマチは加熱して食べれば差が小さいといえる。テクスチャ-の差に脂質量はやはり大きな影響を与え、特にハマチ養殖魚は脂質が多かった。生間の硬さとコラ-ゲン量には相関があり、養殖魚の方がコラ-ゲン量つまり結合組織量が少ない傾向にあった。コラ-ゲンの熱的性質を測定したところ、55ー65℃に吸熱ピ-クが見られたがこのとき養殖魚の法が吸熱量が少なく、変性時には小さいエネルギ-しか必要としなかった。このようなコラ-ゲンの性質については、今後さらに検討する必要がある。
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