乾燥食品を復水した際に、生の状態と同じような状態に戻りうるか否かを調べるために復水物と生のものとの水分活性値Awを20℃において測定し、比較した。使用したのはシバウラAwメータWAー351(芝浦電子製)である。試料はたんぱく質性の鶏卵とでんぷん性のヤマノイモである。 鶏卵は全卵、卵白、卵黄のそれぞれの乾燥物を生と同程度の含水量に復水したが、Awはいずれも生のものより復水物で若干高くなる傾向がみられた。またこの復水物を加熱凝固させた場合にも生のものを加熱凝固させた場合よりも高いAwが得られた。ヤマノイモを凍結乾燥して得た乾燥物に蒸留水を生のものと同じ水分になるまで加えて復水させたときのAwは鶏卵の場合と同様に小数第2位において生の場合より若干高くなるように思われた。実用的な立場から乾燥物を復水した場合のテクスチュアは明らかに生からのものと異なっていた。これらの結果から、乾燥物を復水しても水の存在状態は生の状態とは異なっており、水と基質との結合の程度は全体としてみると復水物において弱いと考えられ、完全に生の状態を回復していないことが示唆された。 また従来KuntzらによってAw=0.92における含水量を結合水と考える提案について文献値などを考慮して検討したが、多くの物質について0.2〜0.5gH_2O/gDMで不凍水量に近い値を示すと考えられるが、0.92に限定する必然性は認められなかった。 これらの復水物と生のものとについてパルスNMRを用いて水のプロトンの緩和時間から強固な結合水を求めたがヤマノイモではいずれも約0.06〜0.07g/gDMとなり、差は認められなかった。凍結乾燥によってもまだ強固な結合水が失われずに残っていたためと推察される。
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