研究課題/領域番号 |
63580068
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
村井 不二子 昭和女子大学, 家政学部生活美学科, 教授 (20054132)
|
研究分担者 |
谷井 淑子 昭和女子大学, 短期大学部生活文化学科, 講師 (10095929)
菊地 美知子 昭和女子大学, 短期大学部生活文化学科, 講師 (00054172)
日野 伊久子 昭和女子大学, 家政学部生活美学科, 助教授 (60146909)
|
キーワード | アイヌ衣服 / 樹皮繊維 / 靱皮繊維 / アッシ / 黒裂置文衣 / 色裂置文衣 / 白布切抜文衣 / 無切伏刺繍衣 |
研究概要 |
昭和63年度における調査は、計測・材質・縫製・技法・文様の面から衣服資料29点について行った。得られた知見を次の如く報告する。 1.形状:袖はもじり袖26点、筒袖3点。身丈の平均値は113.3cmである。身幅は前後共布幅いっぱい使用、身幅出しと考えられる襠付きは15点。衿は小衿(三つ衿部分)が主で、掛衿付きは5点と少ない。棒衿はない。 2.寸法:布幅は29.2cm〜35.5cmで平均値32.4cm、身丈、袖口、袖付け、袖幅、衿肩明、後衿幅に衣服間の差がみられた。 3.縫製:縫合部は並縫い、かがり縫いが主で、始末は伏せ縫い、耳ぐけか耳のまま。縫糸は木綿糸・繊維糸であり、縫い目に粗密があった。 4.素材と構造特性:布、糸の素材判別は顕微鏡による形態観察。構造特性はJIS L1096(一般織物試験方法)に準じて測定した。(1)布は平織で綿織物(平均値・厚さ0.54mm・密度20×16本/cm)が多い。毛織物(平均値・厚さ0.32mm・密度25×24本/cm)絹織物(平均値・厚さ0.12mm密度44×44本/cm)は少ない。又資料中4点はオヒョウ(平均値・厚さ1.04mm密度9×6本/cm)である。(2)糸の多くは木綿糸で、絹糸や靱皮繊維・葉脈繊維等もある。単糸または諸糸でより方向、より数、太さは固定しない。 5.文様:単位文様はアイウシ、モレウを中心としてウタサ、シク、ハート形、釣鐘形等を組み合わせ、切伏せ(裂片置文・布切抜文)と刺繍によって連続文様を構成している。 6.技法:刺繍はコーチングst(28点)がアッシ、黒裂置文衣、色裂置文衣、白布切抜文衣に用いられ、チェーンst(9点)は主にアッシ、黒裂置文衣。フェザーst、ヘリングボーンst、ランニングst等は文様の空間の充填、装飾として白布切抜文衣、色裂置文衣、黒裂置文衣に主に用いられている。
|