昭和63年度は胃がんと食生活の関連性を明らかにするための予備調査を行った。昭和62年度東京都衛生年報による町田市の地域別主要死因の推移をみると、近年、悪性新生物が第1位を占めている。さらに、地区別主要死因別死亡数をみると、町田市は総死亡数1368人中387人(28.3%)が悪性新生物により死亡し、その内、胃がんは113人(29.2%)であった。これを地区別にみると、5地区に分類した内、S地区は、総死亡数98人中29人(29.6%)が悪性新生物により死亡し、胃がんは10人(34.5%)であった。胃がんの死亡率は5地区中で最も高かった。同地区は比較的都市化されていない地域である。同地区を調査地域と設定し、予備調査を行った。対象者は地域の集団検診にきた同地区の30歳以上の女性および40歳以上の男性109人にアンケート調査を行った。対象者109人中、胃、十二指腸潰瘍に罹った人5人、また、家族でがんに罹ったことのある人(死亡者も含む)は38人(35%)で、その内、胃がんは20人であった。中には複数の家族を胃がんで亡くしている人が数人あった。同地区の食生活についてみると、ごはんは1日平均3.5±1杯、みそ汁1.6±0.8杯、漬物2.2±1回、間食1.3±0.8回であった。漬物は1日に5回を食べている人が数人みられた。肉、大豆製品は1日1回より少ない人が多く、魚、卵、牛乳は約50%の人が1日1切、1個あるいは1合摂取し、30%の人がそれ以下と答えた。野菜料理はみそ汁、漬物以外に1食に1品以上食べている人が55%、1品と答えた人が40%であった。しかし、この調査から数量的なものは捕えられなかった。胃がんの要因として、た日摂取、食塩濃度、糖質の摂取量などが報告されている。これらの報告に従って、現在、地域での摂取食品の種類、量、頻度、調理方法、食事形態の変化、塩分濃度など、食生活をはじめ、生活習慣の調査を続行している。さらに、胃がンに罹った人についても調査を行う予定である。
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