胃がんと食生活の関連を明らかにするため、調査および胃内条件でのモデル実験を行った。(1)、町田市の地区別主要死因別死亡数をみると、総死亡数の28.3%が悪性新生物により死亡し、その内胃がんは29.2%であった。胃がんの死亡率の最も高かったS地区を調査地域と設定した。対象者は、同地区の集団健診にきた40才の男女である。食習慣に関する調査結果から、主食はご飯を主として食べている。漬物は毎食あり1回に食べる量は平均で130gで、食事の時に漬物がないと物足りないという人がほとんどであった。また、加工食品(ハム、ソ-セ-ジ、かまぼこ等)魚類干物、佃煮、塩辛を好む人が多かった。さらに、季節差を考慮して行った食事調査結果から季節差がみられたのは野菜であった。 (2).胃内条件下でのモデル実験はアミノ酸の抑制効果について行った。アミノ酸は、アラニン、バリン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、シスチンの8種について、ビタミンCも同種の条件下で水溶液、人工胃液で行った。各種アミノ酸無添加対照のNDMA生成量と各種アミノ酸のそれぞれの添加濃度におけるNDMA生成量の比率を求め比較してみると、アミノ酸の種類によりかなり異なり、シスチンが最も阻害率が高く、次いでヒスチジン、アルギニン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アラニン、の順であった。生成阻害は同じアミノ酸であってもpHによって差の大きいものと差のないものがあった。今後、これらの基礎デ-タ-から各種アミノ酸の相乗効果、さらに抑制因子を明らかにし検討して行くことが残された。今回、食習慣調査は、対象者のプライバシ-等から、成人病に関する調査の一部に加えて実施したが、より信頼性の強い疫学研究手法の確立がのぞまれる。がんが成人病健診の中で扱われ受診率をあげることが出来れば、食習慣を病状等との関連を明らかにできるのではないかと思われる。
|